生成AIを使えば、動画も記事も短時間で作れるようになりました。
一方で、実務で使ってみると気付くことがあります。
AIはコンテンツを作ることは得意ですが、その品質を保証することは苦手です。
私はビジネス実務法務検定2級のYouTube Shortsを制作する中で、約50本分の動画制作パイプラインを構築しました。同様の仕組みは、他の資格試験でも生かせるのではないかと考えています。
その過程で、一番重要だったのはプロンプトでも動画編集でもなく、「品質保証の仕組み」でした。
1. 「まず打席に立つ」と決めた
中小企業診断士の資格を取り、いよいよ何かをしようと考えていたのですが、何をすればいいか、よくわからない状態でした。
きっかけは、ある中小企業診断士の方が書いていた、
「診断士なら、自分で事業を作って経験しよう」
という趣旨の記事でした。(ちゃんと読むと、そういう趣旨ではないのですが、当時の私にはそういう形で響きました。)
生成AIに相談すれば、事業アイデアもアドバイスも返ってきます。しかし、それは経験ではありません。
だから私は、小さくてもいいので、自分で一つ事業を作ってみることにしました。
2. なぜビジネス実務法務検定だったのか
テーマを選ぶ際に考えた条件は4つです。
- 法律はe-Govというネットで公開されている条文が基準にできるため、AIで真偽が簡単かつ確実に確認できる
- 確認した限り、良質なYouTube Shortsの学習コンテンツがほとんど存在しなかった
- もし収益化できれば、副業としても成立する可能性がある
- なにより、受験生の役に立てそうだと思った
3. 一番の課題は「動画」ではなく「問題」
動画編集やAI音声ではありませんでした。
最大の課題は、品質の高い問題をどう作るかでした。
- 過去問は著作権の問題がある
- AIだけで問題を作ると品質が安定しない
- 法律分野では、わずかな誤りでも価値がなくなる。なにより、学習者が混乱する。
そこで、「AIに作らせる」のではなく、「AIを品質保証の仕組みの中で使う」という考え方に切り替えました。
4. AIではなく、品質保証のパイプラインを設計した
具体的にはこのような工程で作りました。

- 著作権の問題を回避すべく、過去問情報と法律情報をNotebookLMに読み込ませて、出題傾向を分析
- その分析情報を基に、ショート動画に載せられるレベルの文字数で問題を自動生成
- 生成した後に、法律情報に戻り、真偽を確認
- デザインをChatGPTで作成
- Canvaでの動画フォーマットはデザインを基に手動で調整(品質担保のため)
5. 失敗しかけたこと
最初は、生成した問題をそのまま使おうとしていました。
しかし確認すると、法律の解釈が微妙に違っていたり、誤解を招く表現が含まれていました。
この経験から、生成AIは信用するのではなく、検証するものという考え方になりました。
そこで、必ずe-Gov情報で真偽を確認する工程を追加しました。
6. 結果
現在は、
- 民法の約50本を制作
- 約20本を公開(Youtubeのアルゴリズムの都合上、毎日公開する方がよいので)
- フォーマット化したことで、1本約10分で制作可能
という状態になっています。
今後は、同じフォーマットで会社法などの動画も作成予定です。
AIによって工数は大きく削減できました。
しかし、それ以上に価値があったのは、品質を維持しながら量産できる仕組みを作れたことでした。
まとめ
製造業では、「品質は検査で作るものではなく、工程で作り込むもの」と言われます。
今回のYouTube Shorts制作でも、まったく同じことを実感しました。
生成AIは、コンテンツを作ることは得意です。しかし、その品質を保証してくれるわけではありません。
だからこそ重要なのは、プロンプトを工夫することではなく、品質を作り込む工程を設計することです。
AIだけでは品質の担保はできません。
品質を設計した人の力を、何倍にも増幅してくれる道具です。
これは動画制作だけでなく、これからAIを業務へ組み込むあらゆる場面で共通する考え方だと感じています。
